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ミク抱き枕01

某同人サークルが冬コミでの販売を企画していた「初音ミク抱き枕」が
版権元のクリプトンより「販売中止と画像掲載の取下げの勧告通知」を受け、
12月18日にそのサークルでは勧告に従い販売中止の告知をHP上で行った。

それに対して12月19日、2ちゃんねるのニュー速にこんなスレがたった。

1 名前: 釣氏(東京都) 投稿日:2007/12/19(水) 01:08:10.05 ID:bkf5yePf0●

クリプトンが初音ミク同人グッズに配布停止、画像取り下げ勧告

クリプトン・フューチャー・メディア株式会社(以下クリプトン)が、同人サークルの同人グッズ販売において
グッズの発売停止及びHP内の画像連載の取り下げを勧告した事がわかった。

以下該当サークルHP内表記まま
>今回予定しておりました抱き枕などですが、ボーカロイドシリーズの原素材を提供します
>クリプトンさまより、販売中止と画像掲載の取下げの勧告通知を頂きました。
>
>これに従い、今回予定しておりました抱き枕の製作を断念させて頂く事になりました。
>既にご注文くださいました方につきましては速やかに対応させて頂きますのでご理解のほど宜しくお願い致します。
>また、ホワイトキャンバスさまにもご連絡致しまして通販の方を取下げて頂いております。

同サークルがコミックマーケット73にて配布予定だったグッズとは抱き枕で、描かれていたキャラクターは「初音ミク」及び「鏡音リン」
委託予約販売(ホワイトキャンバス)もされていた。

ニコニコや2ちゃんねるといったネットユーザーの絶大な支持を受けて成長した初音ミクだけに
今回の措置で「強力な広告力を持つ同人活動を規制するとは時代錯誤的」
「初音ミクブームは完全に終了した」などの声もあがる。

問題となった画像
http://nanasisan.com/0nanasi/src/up4507.jpg.html
http://nanasisan.com/0nanasi/src/up4508.jpg.html

クリプトン・フューチャー・メディア株式会社 http://www.crypton.co.jp/
該当サークル:CLOCK☆HEARTS http://clockhearts.net/

このスレ主に対する大方の反応は「少しは同人エロ自重しろ。 」とか
「この抱き枕黙認する方が間違ってるwwww 」といった諌める内容がメインになっている。

この光景を見ていて私は日本史における鎌倉幕府以前の武士の不安に思いをはせた。
奈良時代に律令制が施行されて以来、農地はすべて国家のものだった。
その原則が平安時代には崩れ、「墾田永年私財法」や荘園の増加で私有地が生まれる。
律令制は農民を土地に縛り付ける法律だったが、その拘束を逃れ、
関東地方に勃興しつつあった武装地主の下で開墾を行う農民が増え、
その武装地主が「武士」として歴史に登場してくる。
武士とは単に戦士ではない。私有地を基盤とした開墾地主が武装したものなのである。

武士

その光景は京都の政権や公式に土地所有を認められた公家から見ると
現代のヤクザがシマを仕切るのと同じような感覚のイリーガルなものでしかなかった。
関東武士には合法的に土地を私有する権限がなかったのである。
そのため、武士たちは実質的には自分たちが所有する土地を公家や寺社に
名目上献上し、自らは名代ということで土地の実質支配を行っていた。

しかしこのシステムは実に不安定だった。
名目上の地主である公家や寺社は土地の相続に関する決定権をもち、
実質的には自分の土地である農地を機嫌を損ねただけで取り上げられることもあった。
そのような状況の中で京都の公家や朝廷に開墾地主のために口利きをする
平氏や源氏という武士の棟梁が現れた。
彼らは朝廷から低い官位をもらい、下働きをしながら地方の主のために便宜を図り、
その見返りに軍事的な協力と資金を得て大きな勢力となっていく。

平安末期に政権を得た平氏は公家化し、本来の全国の武士から失望を買う。
勢力を持たない流人の源頼朝に手を貸し、平氏を倒し、鎌倉幕府を成立させたのは
源氏の力ではなく、「自分の土地は自分のものに」という現実主義に基づいた
政治を望んだ開墾地主たちだったのである。

コミケ

前置きが長くなった。

テレビゲーム専門調査会社のメディアクリエイトの「2008オタク産業白書」によると
同人誌の市場の規模はおよそ277.3億円。
しかしこのマーケットを支えている基盤は鎌倉幕府以前の関東武士のように不安定だ。
そもそも同人誌の大部分はメディアで人気の出たキャラクターの二次創作という
フリーライド(ただ乗り)に基づいて制作されている。
キャラクターの権利を持つ版権元が訴えた場合、法的にはほとんど勝ち目がない。
そんなイリーガルな状態がグレーゾーンのまま放置されているのは
コミック市場を支えるユーザーサービスの一環としての版権元の善意に過ぎない。

このグレーゾーンの境界は決して短くはない歴史の中で自然と形成されてきた。
1999年1月13日、福岡でポケモンの同人誌を作っていた女性が京都府警に
著作権侵害容疑で逮捕
されるという事件が起きた。
それ以来、ポケモンの18禁同人誌を作るサークルはいなくなった。
ドラえもんの同人誌も危険を感じた同人作家が次々に手を引いている。
もちろんそれ以上にライセンスにうるさいミッキーマウスの同人誌を売る人もいない。

ある意味同人誌の世界は不安定ながらもコントロールが効いている。
版権元がうるさくないキャラクターだけがネタ元とされ、
かつての武士の棟梁が公家に口利きをしたように「とらのあな」と「メロンブックス」が
イベント外での流通を請け負ってサークルの保護育成に努めている。
そんな「とらのあな」と「メロンブックス」が手を出さないのが抱き枕に代表される
いわゆる「同人グッズ」である。

とらのあな01
とらのあな創業の地・神林ビル。この急な階段を上った3階にあった

秋葉原にはこの手の同人グッズを扱う店はいくつかある。
しかし例えば「アキバBlog」には同人グッズの情報が載ることはない。
店内の撮影を許してくれる店でも「これは写らないようにしてください」と
ストップをかけるのが同人グッズのコーナーだ。
つまり今回の「初音ミク抱き枕事件」はこのデリケートゾーンに
無造作に踏み込んでしまったために起きた問題だということができる。

それでは「とら」や「メロン」の庇護下にある同人誌市場は安泰なのか?

某出版社の編集長によると「止めたいが規制によって生じる反発が面倒」
というのが正直な感想らしい。
●版権を持つ作家自体が同人活動を行っているケースが多い
●同人誌による作品自体のPR効果も無きにしも非ず
というのが積極的に著作権規制に踏み込まない要因だという。
ただしある分野については非常に神経を尖らせている。
それは「児童ポルノ」につながる要素である。
どこかのサークルが版権元ではなく司直の手によって
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」違反で
逮捕されるような事件が起こったら、各出版社は一斉に同人誌に対する
著作権サイドからの規制を強めていく準備はしているようだ。
特に最近は「絵」を主とした実在しない児童に対する規制もなされるべきという意見もあり、
出版社としては自社の抱えるキャラクターがその規制にかかって
イメージダウンをこうむることを恐れている。

同人誌に関しては会場使用に関する問題もある。
10月に東京都の関連施設において18禁をメインとする同人誌即売会の
会場使用が断られるという事件がおきたが、
実際、会場側としては善意の第三者から「ポルノに関する販売を認めるべきではない」
という意見を出されるのを恐れている状況らしい。
前述の事件の直後の11月4日に浜松町の都産貿ビルで行われた
「コスチュームカフェ」では急遽それまではなかった運営スタッフによる内容チェックが入り、
会場は一種微妙な緊張に包まれていた。

そういう意味では同人誌の即売会は氷河湖の川下にある集落のごとく、
いつカタストロフィーに見舞われてもおかしくないのが現状だ。
例えば東京都が筆頭株主となっている「株式会社ビッグサイト」、
すなわち東京国際展示場で行われている同人誌即売会の内容について
「女性議員グループ」が現状を把握し、東京都に規制を申し入れたら
おそらく表現の自由以前に「児童ポルノ禁止法」と「著作権侵害」の回避を理由に
一気に会場使用ができなくなる可能性が高い。
実質的には地主であった平安武士が源頼朝を押し立てて律令制を打破して
鎌倉政権を樹立したのと違い、同人業界は「金は動いているが正義が無い」状態だ。

「俺たちのせいで人気が出たんだろうが!」と初音ミク抱き枕問題に
逆切れしたユーザーは今まで空気のようにタダだと思っていたキャラクターの
二次使用が実は砂上の楼閣にあることを自覚し、
オトナたちにつぶされないような理論武装闘争を編み出し、
自主的な予防措置を考える時代があるのではないか。


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2007.12.21 Fri l 同人 l COM(1) TB(0) l top ▲

コメント

No title
同人誌専門店が同人グッズを取り扱わないのは
表現の自由でくくれる「書籍」ではなく
あくまで「商材」になってしまうからでしょうね。
まあ、講談社など大手出版がコミケに企業参加
したり漫画家本人が同人出身だったり、漫画家に
なってから同人誌だしたりしだしてから線引きなんか
出来なくなってしまいしたよね。まさに混沌。
でもおっしゃるように「児童ポルノ禁止法」とか
から切り込まれるとものすごく危ういでしょう。
とにかくパロに乗っかっているが故にここまで
拡大した同人界はそれゆえに常に細い塀の上を
巨体をもてあましながら歩いているようなものです。
2007.12.26 Wed l うらはるこん. URL l 編集

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